2007年 フランス/アメリカ
原題: LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON 監督: ジュリアン・シュナーベル 原作: ジャン=ドミニク・ボビー 「潜水服は蝶の夢を見る」 出演: マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、アンヌ・コンシニ、パトリック・シェネ、ニエル・アレストリュプ、オラツ・ロペス・ヘルメンディア 系統: ドラマ/伝記 公式HP さめ的この映画のキロク: ★★★★★ あらすじ: 雑誌「ELLE」の編集長として、申し分のない生活を 送っていたジャン=ドミニク・ボビーは、ある日突然の脳梗塞に襲われる。 病室で目覚めたときには、ロックト・イン・シンドロームに陥っていた。 体の自由を奪われ絶望する彼だったが、 やがて、独自のコミュニケーション法を会得、自伝を綴る決意をする・・・ さめ的この映画のココロ: 『バスキア』や『夜になる前に』などを手掛けた、 ジュリアン・シュナーベル監督作品。 数々の賞を受賞、アカデミー賞にもノミネートされた作品。 ファッション雑誌「ELLE」の編集長であった、ジャン=ドミニク・ボビー。 突然の脳梗塞により全身が麻痺。 目覚めたとき、唯一動かすことができたのが、左目だったという。 その左目の瞬き20万回で綴られた自伝的小説を映画化したものである。 物語は、ジャン=ドーが目覚めるところから始まる。 ぎこちない瞬き。 ぼやけた白い病室。 体を寄せ、視界に入ろうとする人々。 ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)に陥った彼の目線を、 彼の独白に乗せ、独特のカメラワークで描く。 この秀逸なカメラワークにより、我々は彼を体感することができる。 植物状態ではなく、意識は鮮明。 それなのに、左目以外何一つ自由がきかない。 その精神的負担は想像を絶する。 ましてやあれだけの知識と想像力を持っていながら、 何一つ行動することができないなんて、その絶望は計り知れない。 療法士が考えた、瞬きによるアルファベットの提示。 苦しむジャン=ドーは、「死にたい」と伝える。 でも、自分で死ぬことすらもできないのだ。 彼は自分のことを、重い潜水服を身に付け、 深い海を漂っているかのように例える。 そしていつしか、その想像力だけで、 記憶の中を蝶のように自由に泳ぎ始める。 そうして綴られた瞬きの自叙伝。 我々にはたったの2時間の体感だけども、 完成まで、どれだけの時間と苦悩があっただろう。 これも、ジャン=ドーの強い精神力と、 培われた多くの知識、限りない想像力の賜物、 そして、彼を支えた人々の、惜しみない努力があったからだろう。 こういう映画はかくして感動的で、お涙頂戴的なものになりがちだけども、 この映画は決してそうではない。 もちろん、彼の苦しみや悲痛の叫びは充分伝わってくる。 だけども時には、男の目線を描いてみたり、笑 投げやりな悪態をついてみたり、 どこかコミカルで、またユーモラスな描写も忘れてはいない。 ジュリアン・シュナーベル監督、実は画家でもあるらしい。 なるほど、その独特な映像とカメラワークは、本当に素晴らしい。 同監督の『バスキア』や『夜になる前に』も、 なかなかパンチの効いた好きな映画だけども、 それらとはまたかなり違ったテイストの本作。 キロク★は5つ! ゼヒ観てほしい作品のひとつです。 ← 人気ブログランキング ポチッと応援くださいな☆ ← 映画ブログランキング ポチッと応援くださいな☆
by samepoooo
| 2008-12-16 19:17
| 映画 さ行
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